図書館にて。スポーツ本のコーナーに設けられた格闘技棚でモハメド・アリの本など物色していると、背後からむんとする香水の匂い。なんかフランソワな香りぷんぷんさせたゴッスいロリータ服の少女がおれの隣で足を止め、コアな大相撲本を一心不乱に読み始めた。この女ガチだ…

そもそも休日午後のよいひと時をかかる陰気な一画で過ごそうというもの好きはそういない。拳闘本を読むおっさんと、大相撲本に見入るロリータ。図書館の中の辺境を訪れる者は他になし。ジャンルこそ違えど格技を愛好する者、所属・信条の如何を問わずみな同志である。おれの十代の頃よりたぶん外敵も多いであろうあなたの精神生活を、おっさんは勝手に祝福します。他人の言うことなんざ耳貸すな!