集中力がない子なので長文が書けないのですが、以前からこれだけはブログに書き残しておきたいと思っていたので、今まで自分を導き助けてくれた大好きなボディワークの本たちを、今日はがんばってプッシュします。天下第一と喧伝します。いずれ劣らぬ兵たち!


★すべてのはじまり

整体 楽になる技術 (ちくま新書)

整体 楽になる技術 (ちくま新書)

生まれて初めて付き添いで救急車に乗って、当然のことながらそれはひどく気が滅入る経験だということを実感した夜、病院の帰り道、ほんとに偶然手にしたこの本によって、整体の世界を知りました。何がなんだかわからぬものの、「人の体というものを切り口にして、こんなふうに世界を語れるものなのか」という新鮮な感動を覚えたのも束の間、後書きに、「今回は敢えて『気』というタームを使わずになんとか言語化することを試みました」という文を見つけて、天地がひっくり返るほど驚きました。

『気』などという戯言をぬかす者はすべてアホ、狂人の類と断じてよい、と頑なに信じていた自分が裏返った瞬間で、もしかしたら気の世界の住人にもまともな人はいるのかもしれない…と考え直す契機となり、その後、おそるおそる気の世界を覗き始めて、「七割狂人、二割変態、ごくごく一部は非常に聡明」という斯界の生態を知るに至った次第です。

よくもわるくも自分の人生にとって、パウロの回心というか、決定的な一撃を加えた本であり、およそ読書によってこれほどの衝撃を受ける経験は、もう二度とないのではないかと思っています。


★たぶんとても大事なこと

骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門

骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門

これも前述の片山洋次郎さんの著作です。ボディワークって本だけ見ても実はなかなか上手くはきまらないけど、片山さんの体操(?)は特定の姿勢でぐでっと寝そべるだけのものもあるので、比較的独習しやすいです。繰り返し行って体の感覚が高まるにつれて、おなかが温かくなったり体表が涼しくなったりと、生きているなにかの力が自分のなかを駆け巡るのが実感できるようになったのにも感激しました。

片山さんのボディワークは個人的にはもうそれほど行ってはいないのだけれど、単に体のことだけではなく、ものの考え方や人としてのあり方なども含めて、人生でもっとも影響を受けた・受け続けている本の一冊です。好きです。


★整体生みの親

整体入門 (ちくま文庫)

整体入門 (ちくま文庫)

整体を創始した野口さん。たしか松岡正剛の千夜千冊にもこの本の書評があったので詳しい説明はそちらを読んだらいいんじゃないかしら。

前述の片山さんの本が縁で手に取ったこの本、ぱらっとめくった頁には「背骨へ気を通す。その方法は背骨で息をすること」などと書いており、「あかん…やっぱ無理ぜよこの世界は…」と本を閉じ、せっかく興味を持った気の世界も遠のいて、ふたたび首をつっこむまでに二年余りを要しました。

背骨に気を通すその「脊椎行気法」は、慣れれば仕事中でも電車の中でも周りに気付かれずにできるので今ではフェイバリットです。スッと腰がのびて気持ちがパキッとする感じ。有名な「活元運動」については、野口さんの言う無心が性格的にどうしても体得できない(「無心とは何ぞ…」とつい考えてしまう)ので保留中。ただし運動の理屈はわかるので、素直に無心で動ける人にとってはとても効果があるのだろうな、とは思います。


★地味だけど一番です

内臓を強くする整体法 内臓力を回復して体の中から若返る

内臓を強くする整体法 内臓力を回復して体の中から若返る

1分からはじめる! 胃と腸が強くなる整体法 (PHPビジュアル実用BOOKS)

1分からはじめる! 胃と腸が強くなる整体法 (PHPビジュアル実用BOOKS)

整体法―これが本当の骨盤の話 (Medical Life)

整体法―これが本当の骨盤の話 (Medical Life)

劇的に「効く」。野口整体の流れを汲む整体で、最近では家ではこの整体体操しかやっていません。本を見る限りは簡単そうですが、実はちゃんときめるのは超絶難しい体操であるため、できればワークショップなどに参加して誘導してもらうのがいいと思います。自分もかつて専門のインストラクターの方にきめてもらって、我流でやってたのがいかに的外れだったか実感しました(もちろん我流でやってるだけでもずいぶん体が楽になるほど効くのだけれど…)。例えば下半身の体操でも上手くきめれば呼吸が楽になったりと、全身の連動が感じられる非常に高度な体系です。

この整体法は、世に盛んないわゆるお手軽な「癒し」とか「ラクに痩せる」とか、そういうものとは一線を画した感があると思います。真剣に体操をすれば顔が真っ赤になる程きっついし、ただ脱力するだけとか、あるいは「弱くていいよ」みたいな甘い励ましだとかの、安易な方向性はありません。むしろ力を入れるべきところには力をつける、そして心身ともに強くあることを要請します。ときどき大変だなあと思うけど、真面目に続けていれば少しずつ体に一本芯が通ったようになってくるのが楽しくて、これからも追究したいと思ってます。


★激シブ系整体理論

あたため整体学

あたため整体学

帯はお美しい中谷美紀さん。中身は濃すぎて、ボディワークを専門的に学んでいる人とかじゃないとチンプンカンプンなんじゃないだろうか…。人間にとって「立つ」「歩く」という行為がいかに本質的なものであるかが構造的に説明されていて、ふつうに生活することの大切さを再認識するに至りました。でも中谷さんは美しすぎて、たぶんCGなんじゃないかしら。実在しないんじゃないかしら。


★男の子の発火剤

一般に「刃牙」と称されているこれら一連の経典群については太古よりあまたの賢人たちによって既に語り尽くされているので、いまさら自分ごときが付け加えるべきはないのですが、愚地独歩!渋川剛気!花山薫!ああ…!

全頁どこから読んでも気合炸裂、腹の底に火が点いて、自ずと背筋が伸びること必定。姿勢とは心の勢いが顕在化したものであることを再認識させられます。心がいつも気合で充ちているならば、体を正す為に余計な手は加えずともよい、つまりボディワークは究極的には生き方の問題に還元されるのではないか…そのような問いを突き付けられます。

女性が読んでもたぶん「アホか」としか思えないし、実際アホみたいな話*1しかないので、人生に迷った時にしかおすすめしません。

*1:喧嘩の強い人が、喧嘩の強い人や、大きな猿や、大きなカマキリと戦ったりする