天啓を得て温泉に行き、だらだらしてきた。


年明けからずっと体の芯が疲労でどろんとしたまま、目覚めても気持ちがしっくりこない日曜の朝。ラジオつけたらオーボエ協奏曲ぽいバロックが流れてて、オーボエのちょっと割れた音が好きなおれはこいつは吉兆と判断した。吉兆現る時、人は温泉に行くべきだなあと思って、なんとなく伊豆に行ったよ!


かなり無意味に伊豆をふらついて適当なユースホステルにとびこんだら客はおれ以外に家族連れがひと組で、旦那さん(ドイツ人)が楽団のオーボエ奏者で奥さん(埼玉人)がファゴット奏者というドイツ在住の音楽一家だったので、扉の向こうで何かが起こっている…と思った。


息子のミオ君(6)は突然現れた謎の東洋人に動揺を隠しきれず心を閉ざしていた。
「グーテン・モルゲン、ミオ君」
「…」
オリバー・カーン知ってる?」
「…」
「…ミ、ミオ君はいつも何して遊ぶのかな?」
「ねんどー!!!」
「シンクロ率100%!!!」
あとは、ふたりでずっとで粘土の話をしていた。いい旅行だった。