電車で隣り合わせた老夫婦の会話がよかったです。ぽつぽつしゃべるおばあさんの声の調子は、リアルデート感というか、なんだか女学生のような(女子高生でも女子大生でもなくて、空想上の、正調、昭和の女学生。「なんの、恐るるに足りませんわ、空襲ごとき」)うれしさが素直に表れてて、おじいさんは、ああうん、とか、ええそう、とか相槌うってるだけなんだけど、ちゃんと受け止めてる感じがして。人間と人間が何十年かかけて培ったその、気、に、小生、不覚ながら感じ入った。

「ヘイユー、そこのハナッタレ、うちでメシでも食ってくか」ってふたりにいきなり誘われても、たぶん犬みたいについていったんじゃないかと思う。そんでニ、三日住み込んで肩でも揉んで、心気がつるつるになって。