深く深く、夢の底もぶち抜いて、せみの幼虫や巨大イカや重力の見る夢とかとどろどろに溶け合うくらい、ほんとに深く眠ってみたい。その時みたものを忘れないまま、なにくわぬ顔で帰還して、いつもの生活を見直したい。そうすることで現実は稀釈されるのではなく、むしろ純度を高めるのかもしれない。ものごとは本来の存在感を取り戻すのかもしれない。おれは眠りが浅すぎる。