街でひさしぶりに、「上品なおばあちゃん」を見た。「上品なおばあちゃん」はわりと稀有な存在なので、おれはおもわず魅入ってしまう。お茶会にお呼ばれされたくなってしまう。男だから詳しくは知らないけれど、「上品なおばあちゃん」への道のりは、それはそれは険しいのではなかろうか。脂っ気をうまく漂白しながら中年を乗り切り、香気漂う存在へと昇華されるそのプロセスは、たぶん人間の錬金(銀?)術です。むかしの職場で、「上品なおばあちゃん」になれるポテンシャルを秘めた清潔な感じの先輩(20代)がいて、でもその人にはギラギラした中年時代はわりと厳しそうだと思ったので、その旨逐一説明しながら「でもおれは応援しますよ頑張って」って伝えた時の、微妙な顔が、なつかしいです。