もしもあの時、用も無く、書店で足を止めなければ。もしもあの時、踏み切りで、誰かが悲鳴をあげなければ。もしもあの時、知らない言葉をしゃべる少女が、おれにあの場所を譲らなければ。


待ち人は何度でも、その場所に現れる。偶然に導かれて会うのではなく、偶然がいつもそこに向かって流れ込む、そういう場所をみつけたので、おれはこれからも何度でも、そこで誰かに接続されると思います。説明しがたい足取りの向かう先では、たぶん、時々、時間の流れが違うのだろうか。でもきっと、不確かなことはない。